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安房:鋸山

鋸山(329m)は千葉県の低山。房総半島の先端に近い東京湾側にあって、東西に山稜が延びている。浜金谷駅から登り、石切り場跡の産業遺跡と日本寺の大仏を巡った。

登山日
2025年1月18日土曜日
ルート
浜金谷駅-鋸山-石切り場跡-日本寺大仏-浜金谷駅-浜金谷港

鋸山

東京での仕事が終わり、22時頃に君津駅に到着して宿へ入った。都心に比べると宿泊料金は安いが、海岸側に君津製鉄所があるためか、駅周辺は飲み屋ばかりで適当な食事場所がない。

写真1 石切り場跡

翌朝、8:18に浜金谷駅に到着し、10人ほどのハイカーとともに下車した。歩き始めると右前方に鋸山の石切り場跡が見えるが曇り空でコントラスト不足。地形図の鋸山北面の断崖は石切り場跡と知った。

登山道は「車力道」と「関東ふれあいの道」に分かれるので車力道へ入る。切り出した房州石(凝灰岩)を運び出したルートとのこと。

右側に東京湾の展望が開けると「猫丁場」の標識があるので車力道を離れた。直ぐに小規模な石切り場で終点になり、これより奥は進入禁止。壁にネコが浅く彫られている。

写真2 猫丁場にて写真3 東京湾をのぞむ展望台にて

戻って登れば石切り場跡の垂直の壁の前に立ち、鋸山方面と日本寺方面の分岐標識を見る。鋸山方面へ進み、岩を削った狭い急階段を登って尾根に上がると「東京湾をのぞむ展望台」から三浦半島、浜金谷港、ロープウェイ施設、日本寺境内の「地獄のぞき」付近には人の姿も見える。富士山は雲の中で見えない。なお、ロープウェイは定期検査で一ヶ月の運休中だ。

写真4 鋸山山頂にて写真5 三角点と菱形基線測点

あとは尾根をアップダウンして鋸山の三角点へ。山頂からは北に展望があり、三角点の隣にあるコンクリ標柱には「No.6 基本 菱形基線測点」と彫られている。

地図の大きさ:600×150 600×500 600×600

地図の大きさ:600×150 600×500 600×600 説明:地図表示について

赤線:登山ルート、青線:下山ルート

石切り場跡

鋸山方面と日本寺方面の分岐標識へ戻って日本寺方面へ進む。ここから日本寺の北口管理所までの間、鋸山北斜面には石切り場跡が続く。見どころの「観音洞窟」「岩舞台」「ラピュタの壁」には案内板が設置されていた。

写真6 観音洞窟

切り通しを通過すると「観音洞窟」の前に出る。垂直の壁があり、これを斜め下方向へ掘り進んでいるように見える。案内板によれば、良質な石材を求めて褶曲構造に沿って掘り進んだとのこと。薄暗い底には水溜まりがある。

写真7 岩舞台

標識を見て道を離れ、奥へ入ると垂直の壁に囲まれた広場「岩舞台」があり、ホイールローダなど放置された機械が朽ちている。こんな場所へどんな方法で機材を運び込んだのやら。「安全第一」と刻まれた壁の下を廻り込むと左下には「観音洞窟」が見えた。案内板によれば「岩舞台」は昭和60年まで採石を続けたとある。

写真8 地獄のぞき

道へ戻ると垂直の壁の上に「地獄のぞき」の北面が見える。そこは日本寺の境内で、手摺りが設置されており人の姿がある。

写真9 ラピュタの壁

「関東ふれあいの道」を併せて両側が石切り場になっている細い尾根を登る。東京湾が見える右側は「ラピュタの壁」と呼ばれているそうな。登りきったところに案内板と展望所があり「鋸山に残る最大垂直面96mの石切り場跡」と説明されている。

日本寺

写真10 百尺観音

「ラピュタの壁」を通過すると石切り場跡の日陰の中に唐突に日本寺の北口管理所が現れるので、拝観料700円を支払って境内の案内図をもらう。境内に入ると石切り場跡の壁に囲まれており、その一面に刻まれた「百尺観音」を見上げることになる。昭和41年の新しい菩薩像とのこと。

写真11 地獄のぞき

この広場を出るとロープウェイ方面から来るコンクリ歩道に飛び出すので、暫く我慢の階段登りで「地獄のぞき」に達する。これ、何故にこうなったのか。

写真12 浜金谷港と三浦半島写真13 地獄のぞき付近

日本寺は鋸山の東西の尾根の南面にあるので、大仏へは「地獄のぞき」から階段道を下りることになる。良く整備されて歩きやすく、観光客が登ってくるけれど帰りを考えると憂鬱になる。大仏広場の下に唯一の手洗いがあるので仕方なく急いだ。

写真14 大仏

大仏は薬壺を持つ薬師如来。奈良の大仏より大きい日本最大の仏像。日本寺(にほんじ)のサイトには、「天明三年(1783年)に……岩山を3年かけて彫刻したものが原型……その後昭和41年に4ヵ年にわたって修復」とある。なお、案内図の裏面には昭和14年に登山者の失火によって日本寺は国宝仏像と堂宇を全て失ったとある。

大仏口管理所、西口管理所を経由して北口管理所に戻る。「関東ふれあいの道」を登ってくるハイカーに出会いながら下山するが、東京湾の展望がある観月台を通過した後、長い急坂の階段道はヒザに厳しかった。

浜金谷港に到着すれば東京湾フェリーの乗船まで40分待ち。日本寺の境内案内図が分かり難くて不安だったので早めに行動した結果、乗船場の土産物売り場を徘徊して時間を過ごすことになった。

東京湾フェリー

写真15 鋸山

フェリーにはゆったりと乗船。土曜日だけれど混雑していない。フェリーから鋸山の写真を撮影するが石切り場跡の岩壁は陰で難しく、その全容は把握しがたい。

写真を整理していると潜水艦が写っていることに気付いた。撮影時にはまったく認識しておらず、これでは浦賀水道で衝突事故が発生しても仕方ないように思ってしまう。到着した三浦半島の久里浜港から新横浜へ行き、新横浜ラーメン博物館(シニア入場料100円)で遅い昼食をして東海道新幹線にて帰宅した。

行程表

8:26浜金谷駅、出発
8:34車力道・関東ふれあいの道分岐
9:13鋸山方面・日本寺方面分岐標識
9:44鋸山三角点(9:44-9:48)
10:08鋸山方面・日本寺方面分岐標識に戻る
10:37関東ふれあいの道分岐
11:04地獄のぞき
11:14大仏(11:14-11:24)
11:46関東ふれあいの道分岐に戻る
12:15車力道・関東ふれあいの道分岐に戻る
12:32浜金谷港フェリー乗り場
(作成 2025.01.19)