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  3. 2004年1月10日

伊勢:朝熊ヶ岳・青峰山

伊勢神宮を起点に、神社仏閣を巡る長距離ハイキングに出かけた。内宮から宇治岳道を歩き、伊勢神宮の鬼門を守る朝熊ヶ岳(555m)の金剛證寺へ。さらに磯部岳道を南へ降り、近鉄・五知駅から船神様・青峰山(336m)の正福寺へ登る。終着点は伊勢神宮の別宮・伊雑宮。五知-青峰山は山道だが、他は丁石が立ち並ぶ参詣道だ。

登山日
2004年1月10日土曜日
ルート
伊勢神宮(内宮)-宇治岳道-朝熊ヶ岳-磯部岳道-五知-青峰山-沓掛-伊雑宮-川辺バス停

伊勢神宮(内宮)・宇治岳道

写真1写真2 朝熊ヶ岳から写真3 金剛證寺

時刻は午前7時過ぎ。曇り空で寒い。支度をする商家を見ながら、おはらい町を歩いて宇治橋まで来た。まだ時間が早いので内宮の参詣者はまばらだが、これくらいがちょうど良い。(写真1)

参詣を済ませて宇治橋へ戻るが、橋を渡らずに神宮司庁へ行く。建物を右に見て駐車場を歩き、門を出ると道が2つに分かれるので右へ歩くと、すぐに石柱を見つける。右:さんくう道、左:いそべ道・あさま道と刻まれているようだ。この石柱の案内に従って右折する。直進する道(いそべ道か)はゲートで閉鎖されており、あさま道(宇治岳道)は左折する。

大きくカーブした広い道を歩くと最初の石地蔵に出会う。その光背には一丁と刻まれており、このあと同様の地蔵に次々と出会うことになる。ここから30分ほど石がゴロゴロした道を歩くので、今年は靴底の厚いハイキングシューズを履いてきた。

歩きやすい路面に変わると、丁数が異なる3体の地蔵が並んでいるのに出会う。保存のため一カ所にまとめられたものか。おそらく、ここが楠部峠なのだろう。茶店跡の石積みが残っている。

左に現れた伊勢志摩スカイラインから離れると三十丁の丁石(石柱)が目立つ。刻まれた文字を読むと、「武州江戸田所町 施主萩原三郎右衛門」、近くの供養塔には宝暦の年号が見える。こんなのが、たくさんあるのだ。

朝熊ヶ岳・金剛證寺

スカイラインを陸橋で渡ると舗装路に変わる。朝熊峠の手前で五十丁の丁石を見て、朝熊ヶ岳の山頂へ着いた。青空になり鳥羽方面の展望が開けていた。(写真2)金剛證寺に降ると、新年とあって、さすがに参詣者が多い。線香にむせながら虚空蔵菩薩に参詣。(写真3)さらに、宝物館で雨法童子を拝する。

磯部岳道

宝物館から旧参道の標識に従い、おちんこ地蔵の前を通ってスカイラインに降りた。少し南(西)へ歩くと、ガードレールの切れ目で次の道標に出会う。いそべみち、まるやま道と刻まれた小さな石標。そして、最近置かれた近畿自然歩道の指導標だ。この指導標は、金剛證寺と東の丸山庫蔵寺を示している。これから歩くいそべ道(磯部岳道)は南へ向かう。

写真4 磯部岳道 67丁石写真5 67丁石写真6 上五知

ところで、さらにその脇には「鳥羽市猟区」の標識があった。磯部岳道は伊勢市と鳥羽市の境界尾根上を南下しているが、鳥羽市側は猟区のようだ。念のために鈴をつけた。

磯部岳道へ向かうと、すぐに六十七丁の地蔵と出会った。(写真4、5)先が長いことを教えられる。ここで単独のハイカーとすれ違った。今日、山中で出会った唯一の人だった。

ときおり現れる丁石の地蔵を見ながら黙々と歩く。四十九丁の地蔵は下部が水平に割れてズレていた。もとに戻そうと引きずると、意外に大きい摩擦音にドキッとさせられた。静かだ。今日は風の音もない。そして、木漏れ日が暖かい。

磯部岳道は良い山道だが、常緑樹が多く、緑のトンネルで展望が利かない。それでも、その四十九丁から斜面を登った山伏峠北側のピークには「展望台」の小さな標識と赤テープがあり、東面の岩から展望が得られた。朝熊ヶ岳や青峰山、そして山越しに鳥羽の海。渥美半島は靄のなかだ。すでに朝熊ヶ岳から海を見ているので、ここからの展望はもうひとつかなと思う。山越しに見る海は少し迫力不足だ。逆方向に歩いたなら、違う感慨が得られたのだろうか。

四十六丁の地蔵を見るが、どこが山伏峠なのか解らぬうちに高度を落とし、三十七丁の地蔵が置かれた尾根で磯部町へ入る。ここで神宮宮域を離れることを立て札で知った。

長い尾根を降って車道へ降り、上五知の集落に入ると小さな薬師堂があり、次の目的地である青峰山が見えた。(写真6)まだ、少しばかり距離がある。

青峰山・正福寺

写真7写真8 正福寺金堂写真9 池と注連縄写真10 旧参道

道路脇に置かれた十丁、七丁の地蔵を見て車道を歩き、国道167号線に出た。目前には新しい近鉄・五知駅があるだけ。近鉄志摩線の付替工事で駅が北へ移動したようで、少し古いCD-ROM(25000図「地図画像」)からプリントした地形図とは位置が違っていた。

青峰山へは、この五知駅から地形図の破線が登っている。駅の背後はコンクリート斜面になっており、その上部に擬木の手摺りが見えるので右側から登ると山道が続いていた。

雑木のなかの道は送電線の巡視路が分岐したりするが、登る分には一本道だ。ただ、参道として整備されたことはないのか、目印もなく、完全な山道といった感じがする。

山頂の三角点は、NHKのアンテナ施設の北側にあった。ここからは舗装された車道があり、これを降ると立派な山門がある正福寺に到着した。3株ある梅がもう花を付けている。

ここは、志摩半島の沖を往来する船の安全を祈願する寺。少し雰囲気が違う。(写真8,9)ゆっくりしたかったが時間不足。この寺へは南北からの旧参道と車道があり、またの機会もあろうと明るいうちに下山する。

山門から南へ降る車道をしばらく歩く。展望は良いが、どこが見えているのか解らない。的矢湾だろうか。沓掛へ降る旧参道へ入り、九丁の小さな石柱に出会った。道は良くて距離も短い。(写真10)

「青峰山旧道登口」(昭和46年)の石柱が建つところでアスファルト舗装の車道へ降り、適当に西へ向かうと沓掛の集落。近鉄・沓掛駅を見て、再び国道167号線へ出たが、歩道はなくて自動車の交通量が多い。国道を避けるべきだったと後悔した。

伊雑宮

さすがに疲れた。目前で赤い太陽がどんどんと高度を下げて沈んでいく。最終目的地の伊雑宮へ到着したのは17時の直前。夜間参拝禁止の立て札を横目に参詣する。辺りはまだ薄暗い。日没が遅くなったことを実感する。

バスの時刻に間に合いそうなので、急いで国道を南へ歩き、川辺バス停にて伊勢道路経由で伊勢市へ行くバスに乗った。乗客はひとり。最終バスの1時間前だった。9時間の行程も、バスで内宮(浦田町)へ戻れば20分余りに過ぎない。バスから降りると足の筋肉が固まっていた。もう歩けない。

行程表

7:55伊勢神宮(内宮)・宇治橋
9:58朝熊ヶ岳(9:58-10:08)
10:20金剛證寺
11:06金剛證寺(近畿自然歩道・指導標)を出発
12:08四十六丁地蔵
13:10車道へ降りる
13:46近鉄・五知駅
14:36青峰山・三角点
14:53正福寺(14:53-15:16)
15:59青峰山旧道登口・石柱
16:52伊雑宮(16:52-16:57)
17:08川辺バス停(バスは17:12)
(作成 2004.01.12、改訂/書式等 2012.11.11)