美濃:三周ヶ岳
夜叉ヶ池を見たかった。岐阜県側の状況が解らないので福井側から入った。たどり着いた夜叉ヶ池は残雪につつまれ、水面はまだ凍っている。一方、日当たりの良い三周ヶ岳への稜線は、途中の1252mピーク付近からようやく残雪の道になった。夜叉ヶ池までの登山道は良く整備され、どこにも花が多かった。
- 登山日
- 2000年5月4日木曜日
- ルート
- 福井側登山口-夜叉ヶ池-三周ヶ岳-夜叉ヶ池山-登山口
アプローチ

ラジオを聞きながら高速道路を走る。バスジャック事件の徹夜報道のため、気象情報が流されていない。ゴールデンウイークだが、早朝の北陸道は閑散としていた。国道365号線の大門から広野ダムを目指す。ダム湖のむこうには、怖いほどに残雪をつけた山が見える。しかし、上部は雲の中だ。道路はここから地道に変わるが、普通車でも問題なく終点の駐車場まで入れた。
駐車場の収容能力はせいぜい10台程度、付近の路肩を考慮すれば20台くらいか。すでに4台の車が置かれている。新しくて綺麗なトイレもあった。(写真1)
夜叉ヶ池

夜叉龍神社の鳥居を出発する。夜叉ヶ滝を過ぎると丸木橋で左岸へ渡り、夜叉ヶ池まで「2000m」の道標を見る。1000m道標を過ぎ、尾根の右側の道になると一面がカタクリとイワウチワの花に覆われる。(写真2)少し急な尾根道を登り続けると500m道標に到着。両側の斜面に残雪が現れて、花はショウジョウバカマに変わる。霧が濃くなり、バイカオウレンだろうか、白い花を最後にササに変わった登山道はやがて残雪に覆われた。
その残雪の中から200m道標が頭を覗かせていた。左に歩き、残雪の急斜面をトラバースすると平坦地に出る。濃い霧の中を不明瞭なトレースを追うと、右に小さな祠があり、前方に池が現れた。しかし、視界はせいぜい20m位しかない。池の水は凍っているようだ。反時計方向に歩き、県境尾根上へ出るが、まったく展望が効かない。ただ、地面と三周ヶ岳への登山道があるばかりだった。
三周ヶ岳


雪の無い登山道を登る。霧の中で、岩峰や露岩をいくつか通過していく。岐阜県側は急な斜面になっているようだが、よく見えない。1252mピークの横を通過すると、緩やかに下降する尾根は残雪に覆われている。鞍部からは雪面が少し固く、キックステップが効かない。尾根の福井県寄りを登り詰めて三周ヶ岳の山頂に立った。
霧が晴れるのを待つ。コンビニで買ったおにぎりを食べていると、岐阜県側の谷に薄日がさし始めた。流れていく霧の濃淡がはっきりするようになると、時折、稜線も明るくなる。薄日に過ぎないが、まぶしいくらいだ。ようやく遠方まで視界が広がったが、まだ周辺には雲がたれ込めている。曇っているのは三周ヶ岳ばかりか。
そうこうしている間に後続者が現れた。帰路を含めて4人ほどに出会ったが、みんな単独の男性ばかりだ。なんとか美濃の山を見ることができたので引き返す。岐阜県側にはカール状の斜面が落ち込んでおり、なかなかの壮観だ。振り返る山頂はまだ暗かった。(写真3)
夜叉ヶ池山
夜叉ヶ池に近づくと、往路で見られなかった池を見下ろすことが出来た。(写真4)たくさんの登山者が昼食を取っている。岐阜県側の登山道にも人の姿がある。この周辺には60人以上の登山者がいるようだ。

鞍部に下りて、南のピークを見上げる。夜叉ヶ池山というらしい。少々バテ気味だが登ることにする。露岩が多く、ササのなかの細道だが、後方には期待したとおり三周ヶ岳と夜叉ヶ池の展望が広がった。山頂から少し先へ歩いてみた。南の1206mピークが近くに見えるが、右手の三国岳は少し距離があるようだ。
岐阜県側には谷を隔てて、高丸が明るく照らされ始めた。(写真5)
帰路
いつの間にか青空が広がっていた。夜叉ヶ池の周辺には家族連れが来ている。小学生が池になにやら放り込んでいるが、これでは親と一緒に罰が当たるに違いない。
花を見ながら、ゆっくり下山する。閉じていたカタクリの花がいっせいに開いて風に揺れている。尾根には青空を背景にコブシの白い花があちこちに見られる。谷へ降りればミヤマカタバミやニリンソウの白い花。谷の流れも白く光って見えた。登山口に帰ると自動車でいっぱい。しかし、林道を少し下った付近の駐車スペースはガラ空きだった。
行程表
6:20 | 登山口、出発 |
6:47 | 夜叉ヶ池まで2000m道標 |
7:50 | 夜叉ヶ池まで500m道標 |
8:04 | 夜叉ヶ池まで200m道標 |
8:13 | 夜叉ヶ池 |
8:22 | 県境尾根 |
9:19 | 1252mピークの横を通過 |
9:49 | 三周ヶ岳、山頂(休憩など61分) |
12:08 | 県境尾根・夜叉ヶ池への下り口 |
12:24 | 夜叉ヶ池山、山頂(散策22分) |
13:13 | 夜叉ヶ池、出発 |
15:37 | 登山口 |