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  3. 2018年4月3日

御在所岳日記

中道を登り、御在所ロープウエイで下山した。

そして、アカヤシオは早くも咲き始めており、中道の開花前線は690m辺りだ。

湯の山温泉を出発し、御嶽教の行者たちの痕跡を見て歩いた。表道、中道、裏道は行者達が利用し、整備に関わった道だと思っている。今回は長い覚え書きになった。

登山日
2018年4月3日火曜日
ルート
蒼滝公共駐車場-蒼滝不動-中道-御在所岳-御在所ロープウエイ

蒼滝橋・蒼滝不動

写真2 蒼滝橋写真3 ミヤマカタバミ

蒼滝公共駐車場に自動車を置いたが、東海自然歩道は復旧していないので、記録的に早くなった満開のサクラを見ながら車道を歩く。三交湯の山温泉バス停から坂道を上り、涙橋を渡って右折、翠月で左折すると護岸工事が継続中。翠明館前で昨年に落ちた橋は撤去されたままで中之島公園には行けない。

奥へ進むと右は蒼滝橋。その北詰には石鳥居があるが、昭和8年のコンクリート橋は老朽化で長らく通行止だ。左は寿亭への階段道。門柱に水雲閣、石碑に寿亭の庭園だった壽楽荘(裏に大正五年)の文字が刻まれている。寿亭を訪れた志賀直哉は提灯に照らされ、この階段を登ったのだろうか。

上流側の車道で迂回して蒼滝橋北詰へ行く。石鳥居の扁額は落ちてしまった。ここに「御在所岳御嶽神社登山口」の石柱がある。良く見ると小さく「青瀧六丁」とあった。

写真4 御在所岳御嶽神社登山口写真5 蒼滝不動直下写真6 蒼滝不動
写真7 不動明王小祠写真8 霊神碑

西側の一合目標識から裏登山道を登る。蒼滝不動の直下にある丸い串団子のような標識が随分と錆びた。直進方向が「蒼滝裏登山道、銭浪ヶ淵」、左の東海自然歩道が「大石・長石公園を圣て表中登山道」と書かれている。

蒼滝不動から東に歩くと小さな祠があり、なかに不動明王の石像が見える。その隣の小さな霊神碑は覺善霊神始め六名の連名。岳不動明王、蒼滝不動明王先達、神道教権少講義、大峰山先達とあり、裏には法名まで書かれている。名古屋市内の住所とともに昭和五十年とあり新しい。あるいは墓なのか。この辺りから樹間に蒼滝を見られる。

写真7 不動明王小祠写真8 霊神碑

蒼滝不動のミツバツツジは花数が多い。鈴鹿スカイラインに上がり、蒼滝トンネルを通過するとネットの交換作業中。落下物対策用のネットは穴ボコだらけ。冬季閉鎖の鈴鹿スカイラインが開通しないのは、この工事の故か。

中道

重機が搬入された割谷を横目に中道の駐車場に到着。駐車率は3割くらい。中道の尾根に東側から入る。福壽講、大先達覚村霊神、大正十二年秋の霊神碑がある。周辺を見た感じでは霊神碑はこれ一基のみ。付近の石組みは一ノ谷スキー場施設の残骸か。

写真9 一ノ谷の霊神碑写真10 アカヤシオ、650m写真11 アカヤシオ、650m
写真12 アカヤシオのツボミ、オバレ石にて写真13 タムシバ、950m

アカヤシオは650m付近で咲いていた。とても早い開花だ。いつもの690mの株も一枝に開花しているが花数は少ない。樹勢が衰えてきたのか。あるいは早咲の影響か。

今日は悪夢のように身体が重い。駐車場からオバレ石まで1時間とは。そのオバレ石でもアカヤシオのツボミが膨らんでいる。キレットを通過し、木梯子を上がれば何時ものタムシバも花数が多い。そのタムシバも花は七合目付近まで。今年のアカヤシオの花には表年を期待している。

御在所岳山頂

ようやく富士見岩に到着。摩利支天と思われる石像が置かれている。2016年に台座の岩が斜面を落ちたので石像を担ぎ上げ、通路脇に置かれている。イノシシに乗る三面六臂の姿か。頭上で剣を交差させ、左手に弓、右手は矢なのか何なのか。

鳥居がある山頂には「覚順行者遺跡」の石碑がある。覚順が御嶽山から分霊した祠があった場所とのこと。歴史こばなし・九十年前の御在所山(菰野町)の絵葉書に写り込んだ岩と比べると、その通りらしい。

写真14 覚順行者遺跡写真15 覚順行者遺跡
写真16 石地蔵写真17 御嶽神社

石碑裏面には何かと書かれているが、判読し難くて読む気力が出て来ない。この祠は、昭和39年に南西の御嶽大権現に遷座したのだと思っているが、現在も御嶽神社の小祠がある。どういう経緯か。なお、石碑右手の石仏(地蔵か)が壊れている。どうしたのか。破断面が真新しい。

写真18 石仏3体写真19 大日如来
写真20 観音菩薩か写真21 摩利支天

石仏3体は、「こもの文化財だより第20号(菰野町教育委員会、2005)」に、中央が大日如来、左が薬師如来、右が蔵王権現と書かれているが左右は賛成できない。

中央の大日如来は台座に天台寺門宗、東海寺門會とあり、表道の不動尊と同様に知立市の総持寺の関係か。左は良く解らないが、髪を結い、蓮花を持つように見えるので観音菩薩か。御嶽教には縁遠いように思うが天台寺門宗の関わりか。台座には昭和二十二年十月建之、施主高木とある。右は富士見岩と同じ摩利支天。御嶽教らしい。「こもの文化財だより」によれば明治二十一年と刻まれているとのこと。覚順行者の祠の前に、この摩利支天像が左右一対で置かれているように見える古い絵葉書がある。

写真22 神像(裏道下山口)

裏道の下山口にも石像が1体ある。摩利支天像に似た雰囲気で、恐い顔をした女性的な神像に見えるが、該当する神仏が思い浮かばない。

御嶽大権現経由で表道を下山する予定だったが、今日は体力に自信がないので御在所ロープウエイで下山した。新設の展望レストランは建屋がほぼ完成している。6月には改装工事などで施設が運休する。それまでに体力が戻るか心配だ。

湯の山温泉

写真23 蛙石写真24 サクラ

御在所ロープウエイを降りると mont-bell の看板。こんなところで開店するのか。この温泉内には、買い物や食事のために自動車を置ける環境がなく、大方の登山者は素通りするしかない。ロープウェイ客だけを相手にした商売か。蛙石経由で涙橋に下り、サクラが咲く道を駐車場へ帰った。

行程表

8:39蒼滝公共駐車場
9:00三交湯の山温泉バス停
9:19裏道一合目
10:06中道駐車場
13:39富士見岩
(作成 2018.04.05)